やまさんの読書ブログ

やまさんが読んでおもしろかった本を紹介

『ウイルス学者の責任』宮沢孝幸

 

宮沢孝幸さんの「ウイルス学者の責任」を読みました。

著者の宮沢さんは獣医師で京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授。

ウイルス研究のプロ中のプロ。

 

本の中でADE(抗体依存性増強)について書かれた箇所が特に気になりました。

 

ウイルスは細胞に取り付いて侵入していきますが、細胞に取り付くことを邪魔するのが中和抗体です。中和とは、毒性を中和するという意味ですね。ただ、この中和抗体がウイルスにくっつく場所がポイントになります。細胞に取り付くのはウイルスの突起のごく一部ですが、その突起に中和抗体がくっつくとブロックされます。ところが、突起以外の場所にくっつくと効果がない。ただ効果がないだけならいいのですが、ウイルスにくっついた抗体を介して、免疫細胞であるマクロファージや樹上細胞に入ってしまう現象が知られています。細胞の表面に抗体が取り付く部分をFc受容体というのですが、ウイルスに抗体がくっつくと、Fc受容体を介して細胞に入ってしまう。それでも何も起こらなければ問題ないのですが、ウイルスが増えてしまうこともあるのです。

 

せっかくワクチンを接種して中和抗体ができても、むしろウイルスが増える可能性があるADE。

日本より先にワクチン接種を進めてきたイスラエルは4回目のワクチン接種を進めましたが、陽性者の波のピークがどんどん高くなりました。

 

この記事を書いている7月16日時点の日本では陽性者数が一気に跳ね上がりました。

ワクチン接種をゴリゴリに推し進めてきた河野太郎さんも陽性になりました。

ADEの話はテレビや新聞には出てきません。

ワクチンを真っ向から否定することになるから。

 

今日本で起きている現象を見ていると、ADEを全否定するのではなく、可能性の一つとして議論はしてもらいたい。