浅倉秋成さんの「六人の嘘つきな大学生」を読みました。
初任給50万円、新進気鋭のIT企業「スピラリンクス」
最終選考に残った6人の大学生。
6人の中から内定者を1人選ぶという最終課題。
6通の封筒が発見され「○○は人殺し」という告発文が入っていたー
自分の学生時代の就職活動を思い出しながら読んでました。
この小説の中ではグループディスカッションが出てきます。
自分はその形式の経験はありませんが、乏しい実体験を盛りに盛って虚勢を張ってたことでしょう。
学生はいい会社に入るために嘘八百を並べる。一方の人事だって会社の悪い面は説明せずに嘘に嘘を重ねて学生をほいほい引き寄せる。面接をやるにはやるけど人を見極めることなんてできないから、おかしな学生が平然と内定を獲得していく。会社に潜入することに成功した学生は入社してから企業が平然と嘘をついていたことを知って愕然とし、一方で人事も思ったような学生じゃなかったことに愕然とする。今日も明日もこれからも、永遠にこの輪廻は続いていく。
その人の内面なんてそんな短い時間では分かりません。
分からないから、誰が見ても客観的な価値が分かる“学歴”が重視されるのかなあ。
学歴である程度ふるいにかけて、あとは採用担当者の好み。
運の要素が強いので、たとえある会社の面接で落とされても、気にせずに次の会社の面接に臨むしかない。
誰が内定者にふさわしいのか。
小説の中に出てくる6人の大学生の心理戦。
就職活動について色々考えさせられました。
話の構成もお見事。
2024年に全国ロードショーで映画化が決定したようです。
上映が楽しみ。