新田次郎さんの「八甲田山死の彷徨」読みました。
1977年(昭和52年)に高倉健、北大路欣也主演の映画「八甲田山」の原作小説。
映画はテレビで放送されたのを見たことあります。
日露戦争の直前、寒いロシアで戦いに備えて真冬の八甲田山中で行われた行軍訓練。
青森5聯隊は壊滅。
弘前31聯隊も命からがら踏破。
食料も装備も粗末な状態で気合いで前進しようとする姿は狂気でした。
将校の作戦会議で下士官がこんな発言をします。
「不可能を可能にするのが日本の軍隊ではないでしょうか」
当時の軍隊の思考を象徴するフレーズ。
ロジカルに考えるのではなく根性で乗り切ろうと。
隊員の中には八甲田山での訓練が危険過ぎることは分かってたはず。
しかし上官の指示は絶対。
このマインドはその後の太平洋戦争での戦いや、特攻にもつながっていきます。
今回無事に踏破した弘前31聯隊も、その後の日露戦争でほとんど兵が命を失います。
戦争の不条理さを感じるラストでした。