猪瀬直樹さんの「昭和16年夏の敗戦」を読みました。
猪瀬さんといえば東京都知事のイメージが強いですが、本職は作家。
「昭和16年夏の敗戦」は今年の8月に「シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦〜」といタイトルでNHKでドラマ放送されます。
今年は戦後80年。
戦争当時を振り返る企画が増えてきそう。
昭和16年に各省庁や民間企業から若手の優秀な人材を集めて結成された「総力戦研究所」
模擬内閣が組閣され、もし日本がアメリカと戦争をしたらどうなるのか客観的なデータを用いてシミュレーションしていたという。
総力戦研究所が導いた結論は以下の通り。
引用すると、
十六年夏、彼らが到達した彼らの内閣の結論は次のようなものだったからである。
十二月中旬、奇襲作戦を敢行し、成功しても緒戦の勝利は見込まれるが、しかし、物量において劣勢な日本の勝機はない。戦争は長期戦になり、終局ソ連参戦を迎え、日本は敗れる。だから日米開戦はなんとして避けなければならない。
実際どうなったのかは皆さんご存知の通り。
総力戦研究所は戦争の前からかなり正確に戦況を予想していました。
しかしこの意見が受け入れられることはありませんでした。
机上の空論扱いされ、大和魂で勝てると思われていた。
その時代の空気の支配も強かった。
分析の中で特に重視していたのが石油の確保。
石油がなければ、艦隊も戦闘機も動かすことができません。
自国では産出できない石油。
軍部は開戦したらインドネシアの石油を抑えれば良いという甘い見込み。
インドネシアを抑えても石油を船で日本まで運ばなければいけません。
日本の極秘電文をすべて解読していたアメリカ。
日本の参戦も織り込み済み。
当時のアメリカ大統領のルーズベルトは、ハル国務長官にこう言います。
「日本をあやす時期は終わった。問題はわれわれがあまり大きな危険にさらされずに、しかも日本が先に攻撃を仕掛けてくるようにさせるにはどうしたらいいかということだ」
最初からアメリカは日本の魂胆はお見通し。
真珠湾攻撃も分かっていた。
“リメンバーパールハーバー”って美談にされてしまってますが。
アメリカが日本を攻撃する大義を与えてしまいました。
インドネシアから石油を運ぶ船も潜水艦で破壊されてしまいます。
各地の空襲で罪のない民間人を攻撃され、最後は原子爆弾を投下。
戦後に行われた極東国際軍事裁判。
裁判で死刑になった東條英樹。
あまり詳しくは知りませんでしたが、なんとなく極悪人のイメージがありました。
本を読むとイメージが変わりました。
昭和天皇との関わりなど知らなかったことばかり。
なぜ最初から負けると分かっていた戦争に突入してしまったのか。
当時の日本を振り返ることは、現代の日本での問題を考えるきっかけになります。
巻末に石破茂総理と猪瀬直樹さんが2010年に行った対談も掲載されてました。
この本を読んで感銘を受けた石破総理。
アメリカ、中国、北朝鮮との外交をどう進めていくのか注目していきたい。
