やなせたかしさんの「ぼくは戦争は大きらい」を読みました。
やなせたかしさん(1919-2013)は「アンパンマン」の生みの親。
日本で知らない人はいないのでは。
子供の頃に必ず見て、親になってからも子供と見る。
幼稚園のバスのラッピングもアンパンマンが描かれている確率が高い。
やなせたかしさんは1940年(昭和15年)から5年間は日本陸軍の兵隊でした。
赤紙での招集。
実際に戦地へ行ったやなせさんが語る戦争体験は貴重。
終戦から79年。
実体験として戦争を語れる人はどんどん少なくなっていきます。
やなせさんは南京まで馬を運んでいます。
当時の南京は平和そのものだったという。
本を読んでて一番衝撃を受けたのは、やなせさんには弟がいたこと。
弟は優秀で京都帝国大学を卒業し海軍に。
“特別任務”を志願し亡くなります。
特別任務とは奇襲作戦用の小型特殊潜水艇。
人間魚雷です。
「みんなが出るのに出ないわけには行かない」
当時の世相を象徴する一言。
戦地へ向かう途中で敵の攻撃を受けて戦死したという。
アンパンマンとばいきんまんは、食べ物とばい菌です。だから、仲良くしてもらっては困るのです。それでも、彼らはマンガの中でともに生きています。
無菌状態になると、今度は人間の抵抗力がなくなってしまいます。
ぼくが『アンパンマン』の中で描こうとしたのは、分け与えることで飢えはなくせるということと、嫌な相手とでも一緒に暮らすことはできるということです。
ばいきんまんの目は白ではなく薄いピンク。
アンパンマンを倒すために徹夜でメカの研究をしています。
アンパンチをくらっても、次の日にはまた戻ってくる。
アンパンマンの放送開始から30年以上経った今でもともに生きています。
アンパンマンが自分の顔を分け与えるシーンは、やなせさんの戦争体験が反映されているのです。
アンパンマンの見方が変わります。
2025年のNHK連続テレビ小説は「あんぱん」
やなせたかしと小松暢の夫婦が描かれるドラマ。
楽しみです。